清水 伶
絵具は、再現を阻むノイズである。
それを用いて描けども、キャンバスへイメージを定着するにはあまりにも作家の意識や手癖が入り込み、写真や映像メディアでのドキュメンタリーに比べると随分と正確性に欠けることになる。つまり、絵具で描かれたものはフィクションであり、疑うべきなのである。
ノイズとは何か?例えばかつて主流であったVHSテープのそれのように、映画鑑賞のひとときを邪魔する存在。しかしそれは瞬時に鑑賞者をストーリーから引き剥がし、冷静に作品を見つめ直す時間を与えてくれるものでもある。描かれていたものは本当に自分が受け取っていたようなものであるのか?作品に映っている事象や事件、問題を疑い見つめ直すことを促すのだ。