もちゆくもの
「もちゆくもの」というタイトルには3つの意味を込めている。
1つ目は使用メディアであるスマートフォンを【持つ】こと
2つ目は故郷の風景を【保つ】こと
3つ目は変わりゆく中で、記憶を未来に【もちゆく】ことである。
本作では現代に普及したスマートフォンを美術作品の制作過程において利 用し、個人の身体に従属しているその存在を確認しながら、スマートフォンによって人間が失いかけている実感の行方を探る。作者の出身地である秋田県能代市をスマートフォンで撮影し、イン クジェットプリントした後に、酸化力のある漂白剤を用いてインクを剥ぎ、化学変化を起こした。 モチーフである秋田県能代市の社会問題をテーマとし、メディアの発展と時代の進行とともに、 失われていくものを「メディアを持つ個人」と「社会」という2つの視点から見ることを目的に制作した。
本作は能代市の社会問題に対し、実感を得るための装置である。予測的に、これからも秋田県 全域と能代市は衰退し続けるだろう。都市の発展と比較されることは避けられない。また、スマー トフォンというデバイスを持った個人が失っている身体の実感に対して、物質として画像データか ら作品化し、化学物質による処理を加えることによって、制作過程で起こる身体性と鑑賞時に実感することができる物質性を追求した。
制作年
2020年
メディウム
キャンバスにインクジェットプリント、漂白剤
サイズ
縦1000cm x 横6000cm
エディション
ユニーク
この作品の展示実績
アートアワードトーキョー丸の内2020